モノリス。皆さんはこのブランドをご存知だろうか。
2021年から徐々にその知名度を上げていき、今年に入ってのメディア露出増加と共に、恐らく一気に人気に火が付くだろう。
そんな勢いを感じられるプロダクトバックパック「モノリス」を、今日は紹介しよう。この記事ではまだ個人メディアとしては詳しく紹介される事が少ないモノリスについて「最高に魅力が伝わる記事」を目指して執筆してみた。ぜひ最後までその魅力に触れていってほしい。
MONOLITHどんなバックパックなのか?
このモノリス、一体どんなブランドなのか。モノリス本店と中目黒の有名セレクトショップである1LDKで現在展開されているブランド。主にバックパックやショルダーバッグをリリースしている。
今回私が購入したのはバックパック。1LDKの店内で丁寧に接客してもらい、その魅力にドはまりした。その次の週末には丸の内の本店へ。手に取ってしまった。
ここでモノリスが現在リリースしているバックパックシリーズについて、簡単に触れておこう。
まずモノリスのバックパックはスタンダード(S、M、L展開)、オフィス(S、M展開)、プロ(S、M、L)展開)の3ラインが用意されている。名称で大体想像がつくかと思うが、スタンダードは日常使い、オフィスはビジネスシーン、プロは堅牢で高スペックな部分が特徴だ。
そして昨年の夏から新たにソリッドという種類が加わり、ラインナップが充実した。ソリッドの特徴としては「シンプルで馴染みのあるフォルムであるべき」という仮定した考えのもと、オーソドックスなフォルムが特徴となっている。所謂デイパック、というフォルムが好みの方には、おすすめだ。
私が今回手にしてのはプロのソリッドでサイズはM。ネットで色々調べた結果、迷うならスペックが間違いない充実したものを選択して満足したかったからだ。店頭で背負ってみた結果、Lサイズでも面白そうだったのだが、まずは無難にMサイズで日常に合うか確かめて使ってみる事に。実際店頭で尋ねてみると、スタンダードやオフィスではなく、やはりプロを選択する方が多い様だ。
因みに公式ホームページは各ラインの情報が確認できるのだが、正直種類が多く所見のユーザーには見にくい。その上オシャレ感が物凄く暗めの写真の為、正直商品の外観の違いがよりわかりにくい。(ブランディングの一環だと思うが、この見にくさで逆に店舗誘導している上手い手法なのでは…と思ってしまう程)
しかし機能として自分が気になるライン同士を比べる事ができる機能があり、これが非常に便利。どういったポケットやオーガナイザーがあるか、価格やスペックの違いなど、自分が気になる部分をすり合わせて比較することが出来るのだ。
こういった情報である程度自分の中での候補を絞って店頭に行くと、よりお気に入りのバッグと出会えるかもしれない。
モノリス PRO ソリッドタイプについて
今回手にしたモノリス PRO ソリッドタイプのスペックや各部紹介をしていこう。
素材:Ballistic AIR 840×1680D
サイズ:400×450×160mm
容量:26L
重量:1.2kg
価格:47300円(税込み)
公式ページによるスペック表記は上記の通り。
まず素材については、Ballistic AIRという素材が使用されている。バリスティックナイロンといえばBRIEFINGをはじめとし、多くのバッグブランドで使用されている素材。耐摩耗性と引き裂きに強い特性を持っており、尚且つこのBallistic AIRは中空糸を使用しているため、丈夫ながら軽さがある。
1680デニールという厚みなので、かなり耐久性は高い。BRIEFINGのラインナップで多いのが1050デニールだ。これでも一般のナイロンが200デニールでその5倍と考えると上等なのだが、このモノリスのPROソリッドは完全に上回っている。
重量は1.2㎏で、実際に背負って重いとは感じない。因みに以前紹介したバックパックと比べると、こんな感じ。
アークテリクス グランヴィル16(16L) 0.75㎏
アークテリクス マンティス26(26L)0.86㎏
エイブルキャリー デイリーバックパック(20L) 9㎏
エイブルキャリー マックスバックパック(30L) 17㎏
上記の数値からも容量を考えれば、モノリス PRO ソリッドは重たいバックパックではない部類だと考えられる。
今回私は容量25㎏オーバーのバックパックを探していた為、丁度良い容量が決め手となった部分がある。25㎏であれば日常生活には十分すぎる程事足りるし、実際バッグに入れてみるとその使いやすさがわかる。
通常のバッグであれば縦に長いデザインが多く、メインコンパートメントに対して物を積み重ねるイメージでパッキングしていく。しかしこのモノリスはデイパックの様なフォルムをしている為、コンパートメントに対して、満遍なくモノを入れていくイメージだ。
縦長のバッグよりモノの積み重なりが少なく、広い間口から開いた際の視認性が高い。こういった部分も非常に使いやすく、考え抜かれている部分だ。
モノリスを実際背負って感じたポイント
ここからは実際モノリス PRO ソリッドを背負って日常を過ごし、良かったと感じたポイントを紹介する。
オーソドックスの使い心地
個人的にこれまで使用してきたバックパックに関しては、ある程度特徴的な形状や素材が用いられていたりする事が多かった。そういった部分において個性が出やすく、スタイリングに関してもアクセントの一つとして機能していたのだが、今回手にしたモノリスは全く逆。
論理的思考や哲学が反映されたブランドコンセプトやプロダクトが表現する様に、このバックパックはシンプルでありながらオーソドックス。機能性は高く確かに作りこまれているのだが、背負う所有者のパーソナリティが見える様なデザイン。
近年、オーバーサイズの洋服が日常に定着した中で、こういったシンプルで変わらない安定感のあるデザインは、非常に相性が良いと感じた。安定感はありながら、作りこまれているので上品さもどこか感じるし、様々な角度から見る事で、より奥深さを感じられるプロダクトだ。
個人的にオーバーサイズのコートに合うバックパックを探してこのモノリスに辿り着いた。購入前は「こんなどシンプルでデイパックみたいなバックパックが自分に似合うのか…?」と思っていたが、シンプルだからこそ自然に馴染んでいった印象があり、今では自分のお気に入りの持ち物の一つになっている。
お気に入りになるにつれ、まだ街では背負っているユーザーが少ない部分も相まってどんどん愛着も湧いてくる。このモノリス、宣伝はするけれどブランドフィロソフィに芯がしっかりとあり、ブランディングも非常に考えられ展開されている。なので今後も一気にメジャーになって街に溢れるという事は少ないだろうし、バックパック自体にもロゴが無くアノニマス感がある為、長く使っていけそうな感じがしている。
そんな普通と奥深さ、そして匿名性が程よく調和した使い心地が、これから毎日を過ごすうえでとても楽しみだ。
抜群の背負い心地
そしてこのバックパック、とにかく背負い心地が良い。背負い心地が良いと言うと、バックパックのレビューとして非常に月並みなで陳腐な言葉だけれど、本当に良いのだ。
個人的に背負いやすいと感じた部分は、背中のクッション、そしてバックパック自体の形状にある。このバックパックの背中部分には、ラップトップスリーブがある。このスリーブと背中部分の間には芯材が入っている。恐らくウレタンが入っているのだろうが、これがとても柔らかい。
加えてメインコンパートメントの背中側も作りがしっかりしており柔らかい為、2重で柔らかさを感じることが出来る印象だ。この辺りも、取っ手付けたような機能性ではなく、背負い心地を考えられた構造になっているのだろう。
そして個人的に気に入っているのは、背中をすっぽりと覆ってくれる様な広いクッション性。前述したように、やや横に広く取られているデザインをしているので、背中だけでなく脇下あたりのサイドまで覆ってくれている様な感覚になる。
的確な表現が見つからないのだが、通常の高品質なバックパックの背クッションが、車のシートだとする。しっかりと受け止めてくれ、背中を支えてくれる印象だ。
対してこのモノリスは、背中全体をすっぽりと柔らかく覆ってくれている形状なので、常に背中に柔らかい大きめのクッションがあたっている感覚。本当にフカフカと背中当たりが良く柔らかい。
デザインや機能性が良いのは知っていたが、正直ここまで背負い心地が良いとは思っていなかった。ショルダーハーネスもかなり幅広く取られていて、重たい物を収納しても肩に痛みはでない。
こういったデイパック的なバックパックは、スタイリング的に肩掛けする様なシーンも多い為、非常に助かる構造だ。
背中全体を包み込んでくれる形なので、バックパックを前に取り回してくる際も非常にスムーズなのだ。これは狭い電車内や室内などで結構重宝していて、スルーっと前に回してモノを取り出したりすることができる部分が個人的に気に入っている。
この背負い心地やフィット感、そして質の良い柔らかさ。この辺りは、流石ランドセル業界でシェア3割を誇る老舗「セイバン」の技術。肩への負担を和らげ、体への密着度を高める “天使のはね” などに代表される技術が、こういった部分にも活かされているのだろう。
考え抜かれたディティール
そして最後にディティールについて。モノリスにはプロだったりオフィスと、機能性を売りにしたラインがある。しかし他メーカーがリリースする様な「ビジネス用にも特化した」「ガジェット収納に最適」という製品は、どこか取っ手付けた感が否めない。
そういった仕様の謳い文句だけが先行し、他の機能性が損なわれていたり全体としてのバランスに欠ける印象だ。
しかしこのモノリスは、そういった点に妥協が無い。現代ニーズを確かに満たしながら、あくまで生活者が使うモノとしてのバランス感覚に優れている。だからこそデザイン先行や突飛な機能性ではなく、あくまでファッションに合わせた時にどう機能するか。そんな風に、生活者が長く自然に使える、使いたくなる様なデザインや機能感がある。
まず驚いてほしいのが裏返した荷室。実際にショップで触れてみた際に一番驚いたのが、この丁寧な縫製と作り。表生地ではないのかという位に作りこまれている。
こういったディティールの拘りや、ユーザーの動きを快適にしてくれる各部機能性が融合し、バックパックというよりプロダクトという形容が相応しく思えてくる。
後程各部紹介で詳しく触れていくが、本当に荷室、ポケット、デザイン、縫製が、丁度良い具合に調和している。これ以上は必要ないし、これ以下でも物足りない。モノリスが体現するモノづくり哲学が、ここにあると感じた。
モノリス バックパック PRO ソリッドの今一つな部分
そんなモノリス バックパック PRO ソリッドも、個人的にやや使いにくい部分があった事も事実。そこも併せて紹介していこう。
柔らかさゆえのデメリット
このバックパックは丈夫ながら、とても質の良い柔らかさがある。ウェブでの下調べで丈夫という事はスペック数値上で分かっていたが、この柔らかさには驚いた事を覚えている。
しかし柔らかい事は同時に、ユーザーによってはデメリットを生み出しかねない。その事例の一つに、ジップ開閉時の取り回しにくさが挙げられる。
このバックパックは生地自体がとてもしなやかなのだが、背負ったままでジップを閉めようとすると…この様に生地が歪んでしまい、片手でうまく締められない事がある。
解決方法としては両手でそれぞれ抑えたりする事で締まるのだが、慣れるまではこれまでのバックパックとは少し異なった閉め方に戸惑うかもしれない。この様に左右のジップを持ちながらトップに向かって両手で締めようとすると、トップ中心にシワが寄って閉められない。
加えてこの部分が歪みやすいので、これをシワと捉えるかこなれた味のあるクセと捉えるかは、ユーザー次第だろう。これまで形をしっかりと保持してくれる様なバックパックを使用していたユーザーは、形状の話のみで言えば合わないのかもしれない。
加えて、重いモノや尖った形状をした物を入れた際、底面が凹む部分も気になった。容量もたっぷりで生地内外しっかりしているので特に心配はしていないのだが、個人的に重たいミラーレスカメラや三脚など、重量がある物や硬くて尖った物を収納した状態で背負うと、若干底面が凹んでいる。
これまで使用していたABLE CARRYのバックパックは、底面から支える特殊機構の機能によって重量のある特徴的な物を入れても影響がなく、安心感が大きかった。
モノリスもスペック的には問題無いとは思うのだが、長く同じような状態で使い続けた際に経年劣化していくのか、今後チェックしながら使っていきたい部分だと感じた。
モノリス バックパック PRO ソリッド 各部紹介
それでは各部の紹介をしていこう。
表面は1680デニールのBallistic AIRナイロンを使用。シンプルな見た目をしていながら耐久性は抜群。日常で酷使しても長く使える様な丈夫さがポイントだ。
続いてフロントポケット。こちらはモノリスのロゴがさりげなくあしらわれたマグネット式になっており、感覚的に開閉が確認できる。モノを取り出しやすくマグネットで使うも良し、ポケット内部に配されたジップでも使うでも良し、セキュリティを考慮して両方活用するも良し。財布や鍵、小物やポーチなど、収納するモノによって使い方を替えられる様になっている。
両サイドに目をやると、こちらもマグネット式のポケット。こちらにはポケット内部と本体内部を貫通するケーブルホールが配されている。
スマートフォンの充電をしながら、必要な際はサイドから引っ張ってきて使用範囲までデバイスを延ばしてくる。そんな現代ニーズに応えた使い方ができるポケット。スペース的にはそこまで広くは無いので、薄い小物を入れるのに適当なポケットだ。
反対側はジップファスナーによるポケット。スペース的には反対側のポケットと同じくらい。個人的にはこちらに紛失したくない鍵などを入れる事が多い。
何かと持ち物が多くなりがちな現代の生活において、ポケットが多く使いやすい部分は良い。内部のポケットジップに関しても、表地に配されている物と同じYKKジップで構成されている。
このジップはRCWファスナー WATER-Rという名称で、ライナー素材が2重構造になっているラケットコイル。これは摩耗耐久性を求められる鞄やバックパック向けに開発され、 縫合糸の摩耗を防ぎファスナーの耐久性を向上させる特殊なコイル形状を採用している。触るとしっかりと厚みがあり、丈夫な感じが伝わってくる。突き上げ強度は通常のRCファスナーの倍以上に強化されている様だ。
因みにWATER-R仕様で撥水性も兼ね備えており、柔軟かつ強度に優れるTPU素材の引き手を使用している。
メインコンパートメントを見てみると、内部は幾つかのオーガナイザーで分かれている。
まず背中側のスタッフポケットはファスナー・マチ付きになっている。こちらの容量は10Lで、収納したものが外から人の目に触れない構造になっているのが特徴。こういった部分はビジネスにおいても活用できそうで、例えば出張であったり遠方の移動が発生した際の衣類や着替え等を入れるのに便利そうだ。
ポケットの外側にも4つのオーガナイザーが配されており、小物などを収納できる。
こちらは大きい間口のポケットが1、中程度のポケットが1、ペンサイズのポケットが1といった感じだ。
続いてフロント側のオーガナイザー。こちらはメッシュポケットになっており、主にACアダプターやケーブルを入れたポーチ・ウォークマンなどのガジェットを収納する事が多い。視認性が高くアクセスしやすいので、とても便利に使える。
その下には貴重品等を収納できるセキュリティポケットも配されている。こちらは奥深くに配置されているのでアクセス自体はそこまで良くは無いが、収納力は高い。
といった具合でオーガナイザーの数が豊富で、オンやオフどちらにも対応できる部分が魅力的だ。私の場合外での作業や動画撮影機材の持ち出しで、どうしてもガジェット関係のモノが増える。
試しにオフの日に普段持ち歩いている三脚、フルサイズミラーレスカメラ、望遠レンズ、マイク、充電バッテリー、充電コード類、ケアポーチ、ペットボトルを入れてみた。
全て入りきった状態で荷室の半分程度が埋まるくらい。ここに上着のシェルジャケットは余裕で入るし、荷室内でモノが横に広がるため視認性も高い。
こういった感じでシンプルな見た目から想像つかない程収納力は高く、モノを運ぶという本来の機能性においてかなり満足できるのが嬉しい部分。
続いて外に戻って、背中側のラップトップポケット。こちらには16インチクラスのラップトップが収納可能。かなりクッション性が高い荷室になっているため、安心感は高い。ノートPCなどを入れたり、個人的にはこちらに着替えなどを持ってきても良いと思っている。柔らかい物を入れれば背中のクッション感がより増し、心地よく背負えるようになる。
この様に各部が本当にユーザーの使用シーンを想定され作りこまれており、かなり汎用性の高いバックパックになっていると感じる。
モノリス バックパック PRO ソリッドまとめ
という事で今回はモノリスがリリースしているプロダクト「バックパック PRO ソリッド」を紹介した。私自身まだ使用して1か月余りなのだが、早くもメインバックパックに昇格する手ごたえ、いや背負いごたえを感じている。
・オーソドックスなシルエットでオーバーサイズの洋服にも合わせやすく、非常に使いやすい。
・ユーザーの事を考えた機能が豊富で、現代シーンでの生活で間違いなく活躍してくれる。
・作りこまれたディティールによる満足感や所有欲で、日々のバックパックとして愛着が湧きやすい。
こんな部分が特徴的だと感じた。
これから間違いなく来るであろうプロダクトであるモノリス。ぜひ皆さんもショップへ足を運んで、その完成度の高さを手に取って感じてほしい。
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