今日は人慣れしていない猫と仲良くなる方法を紹介しよう。
元ドッグトレーナーの経験を持つ私が、保護子猫のこむぎを迎え入れた体験を中心に紹介していく。
昨年の冬に我が家にきた子猫のこむぎは、少しばかり恐がりで慎重派。
保護猫であった為か人慣れしておらず、僕たちは焦らずゆっくりと彼のペースに合わせていく事にした。
僕は以前、ドッグトレーナーやトリマーとして動物関係の仕事についていた。
当然犬と猫は違うわけだが…そういった経験も踏まえ、こむぎに対して日々接していった。
そんなこむぎも、機嫌が良い時は今や飼い主にべったり。こんな感じで甘えてくるように。
今回はそんな我が家のこむぎを例に、人慣れしていない猫と仲良くなる方法を紹介しよう。
人慣れしていない猫と仲良くなる5つの方法
①触れ合うときはゆっくり、優しく
猫は基本的に、急な刺激に対して強く恐怖心を抱く。写真は家にきたばかりのこむぎ。触られてまだ恐がっている。
その為、かわいいからと言って急に知らない人間たちに自分たちの都合で突然触られたり、大きな声を出される事を嫌う。
なので、接する時は同じ目線で。
こちらから一方的に触りにいかず、少しずつゆっくりと。
自分は危害を加えない存在という事を、まずはわかってもらう事が第一歩。
そして猫は目をジッと見られるのが嫌い。
犬はアイコンタクトで親和を取るが、猫とは基本視線を合わせたり早い瞬きはせず、ゆっくりと接してあげると良い。
②猫の安心できる場所を作る
はじめて来た場所。猫は環境の変化に敏感で、彼らにとっては部屋に慣れるのも大変だ。
そんな中知らない人間が話しかけてきたり接してきても、猫はただ不安になるだけ。
写真は同じく、家にきたばかりのこむぎ。触られるのも怖がっていて、知らない場所で人に触れられる怖さが、表情で伝わってくる。
なのでまず、部屋の中で安心できる場所を用意してあげる事が大切だ。来たばかりのこむぎはとにかく高い所に上りたがった。私より背の高いケージを用意してあげたら、安心するのかしょっちゅうよじ上っていた。
こうする事で、部屋で緊張する事やストレスがかかる出来事があっても、逃げる事ができるパーソナルスペースができる。
猫は高い場所から周りを見下ろすことが大好き。高い場所は外敵に襲われる心配も少なく、なおかつ人間と同じ目線に立てる。
猫の目線の気持ちになって考えれば、人間はかなり大きな存在だ。
まず子猫の内は小さくても良いので、ケージを作って居場所を用意してあげよう。こういった感じで高ければ、尚良いだろう。
まずは部屋の中に彼らの縄張りを用意してあげる事で、家の中は安心できる場所というイメージを持ってもらおう。
③良いイメージを繋げてあげる
犬や猫の行動学として「オペラント条件付け」という物がある。
オペラント条件づけ(オペラントじょうけんづけ、operant conditioning、またはinstrumental conditioning)とは、報酬や嫌悪刺激(罰)に適応して、自発的にある行動を行うように、学習することである。行動主義心理学の基本的な理論である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
簡単に言うと、人間が猫に対して行動を起こし、それが自分にとって良い事か悪い事か猫側が判断し、その後の行動を変化させるという考え方です。
例を出してみよう。
猫がおとなしくしている→撫でてあげる→すると猫は気持ちよいから、おとなしくする事は自分にとっていい事、と学習する。
もうひとつ
猫が机の上でいたずらをする→飼い主が大きな音をだす→すると猫は自分のした行動により怖い思いをするので、これは良くない事、と学習する。
つまり人間側が猫に対し「自分の行動によってどうなるか」という思考の紐づけを行わせる方法。
これはつまり逆の効果もある。
猫がおやつが欲しいとねだっている→飼い主が諦め、泣き続ける猫におやつをすぐ与えてしまう→すると猫は鳴いていればおやつが出てくると学習する。
この様に使い方を間違えると、悪い方向へと行動が強化されてしまう事もある。
しかしこのオペラント条件付けを利用し、まずは自分たち人間が、猫に良い事を与える存在となる事は、非常に有効な手段だ。
猫がトイレをしたら→人間がすぐに片付ける→するときれい好きな猫は、あの人が近づくとトイレがキレイになると感覚的に覚える。
猫が自分の意思で少しでも近づいてくれたら→飼い主が優しく褒めてあげる→すると猫は、この人に近づくと撫でてくれるとやがて学習していく。
猫は犬より報酬や褒美に対して関心が薄い動物ではあるが、この行動学はしっかり利用できる。
まずは人間の事を、自分に良い影響を与えてくれる存在と覚えてもらう事が、よい関係性を作る秘訣だ。
④触れ合うより、遊んであげる
少しずつ距離が縮まってきたら触れ合うのも良いが、猫とよく遊んであげる事が最も大切。
こちらの写真は家に来たばかりのこむぎ。始めはケージ内で怖がっていたが、ねこじゃらしで遊ぶ素振りを見せると自然に出てきてくれた。
やはり子猫のうちはかわいくて、ついずっと触ってしまいがち。
しかし人間の都合で触れ合いに行くのではなく、よく遊んであげることで、ストレスの蓄積を防ぐ効果がある。
散歩にいかない猫の運動は、飼い主との遊び。
子猫が親猫から教わった、狩りの様な行動をさせてあげる事で、本能的にストレスが発散される。
しっかり運動しないと部屋の中で走り回ったり、人間の生活品でいたずらをする。
ストレスを自身で何とか解消しようとする行動をとるようになり、それは人間側の都合で勝手に「問題行動」とさせられてしまいがち。それらは勿論、飼い主が気付いてあげるべきサインだ。
適度に触れ合い、体を動かすような遊びを取り入れてあげる。人間と同様で、適度な運動は肉体的にも精神的にも重要。
日々気持ちよく過ごしてもらえるよう遊びに真剣に取り組むことが、飼い主としての重要な務めだ。
⑤必要以上に構わない
そして最後の仲良くなる秘訣。
必要以上に猫に構ってはいけない。これはこむぎが来たばかりの私が、ケージに頭を突っ込んでいる写真。慣れていない子猫からすれば、これは恐いだろう。
猫は気まぐれな動物。いくら撫でてていても過度に触られたり、長時間追いかけまわされると、ストレスを感じる。そういった時は、耳が凹んだり、あまがみをしたり、顔を背けたりと、様々なサインに表れてくる。
犬は基本的によくコミュニケーションを取って親和を深める動物。
なぜならもともと集団で行動する動物であり、他の存在から認めらようとする意識を持っているからだ。
しかし猫は基本単独で生活する生き物。これには多くの説があるが、飼い主に認められたくて撫でられたいのではなく、単純に自分の気持ちよさを求めて飼い主とコミュニケーションを取ると考えられている。
猫は適度な距離感を大事にする動物。猫には猫の世界がある。
猫との生活は、何事も猫主導で接する様にしていこう。因みに写真は、キャットタワーの特等席でプロジェクターの映画を鑑賞するこむぎ。
すると…いつしか猫の方からすり寄ってきてくれる。こんな感じでカメラに自らすり寄ってきてくれる様にまでなった。
そして構ってほしい素振りを見せる、猫から近づいてくる様子があれば、しっかりと触れ合ったり遊んであげる。
こんな距離感を大切にしていく事が重要だ。
こうした5つの考え方を取り入れる事で、我が家のこむぎは3週間程度で比較的早く人に慣れてくれた。今では毛布の中でこんな無防備な寝姿を披露してくれるまでに。
皆さんも自分の愛猫が人慣れしていなければ、これらの方法でその子にあうお物をぜひ試してみてほしい。
このいずれかの方法が、皆さんと愛猫の生活の良いヒントになれば幸いだ。
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