「何のアーティストが好き?」
職場の食事会やこれから親しくなる感じの人たちと、こんな話題になることってない?
僕はMr.Childrenが好きな訳だけど…
最近あった食事会の席で、この手の話題についてはこう答えるのが正解だって気づいたんだ。
「好きなアーティストはMr.Childrenで、今一番好きな曲はNOT FOUNDだよ」
これを即答で答えるのがポイント。
なんでかって?
直ぐに答えないと大変な事になる
この間の会社の食事会でこんな話題になったんさ。
僕がMr.Childrenオタクっていうのは社内では周知の事実で、そんな僕に同僚が一言。
「じゃあミスチルの曲で一番好きなのは何なの?」
きたか…この質問。ゴクリ…。
Mr.Childrenレヴェルのアーティストともなると名曲を湯水のごとく世に繰り出してきてそこに自分の思い出や感情移入補正が加わるともう一番なんて選べる訳がないよね。
でも俺聞かれてんだよな?
一 番 好 き な 曲 は 何?って。
一番だよな…一番ってことは文字通り最高に好きな曲を俺に聞いてるんだよな…
このポジショントークの呑みの席で俺の純度100%の気持ちを打ち明ける意味あるか?
俺があの時ドームで感じた衝動と心の揺れをこの皆に話して何が解るんだ?いやでも聞かれてるから答えるのが筋だよな…
一番…いちばんか。今までノッファかI’LL BE(I’ll be)と信じて疑わなかったけど最近擬態がアツい。本当にアツい。
あの桜井さんがなにかと何作も作りがちな王道コード進行から放たれる人々の琴線にボロボロ触れまくって弦にミスチルファンの手垢がきまくった様なメロディ。SENSEアリーナで観客がまだノリも掴めていない状況でこのメロディーラインを会場に歌わせんのかよホントどSだなと思わせるほどの彼の強靭な精神力そして研ぎ澄まされた感覚。人々の考え方や意識に対し「それでいいのか?」と問いかけながら僕達をピンクと水色のグラデーションの世界に連れて行ってくれる至高の5分49秒。けどこれは『恒久的に好きな一番なのか』もしくは『今いちば…
同僚たち「あれ、くるみかな」「Innocent Worldだ!」「あれ?HANABIだ!HANABIでしょ」「あれ?HANABIってどんなやつだっけ?」「ほらあれだよ!もういちどーってやつ」「え?もういっかーいじゃない?」「ウケるんだけどもういちどーってアハ!」「ウケるねー」「いや知らないし!ミスチルって知ってそうで知らないしさ…実際最近聞かなくない?」
僕「え?いや、好きだけど…うーんいちば…」
同僚たち「じゃあシーソーゲームだ!そうだよ!あれいい曲じゃん!」「でも古くない?私たち何歳よ?」「あ!すみません追加イイですか?馬路村ゆずと…ん?何にする?…これ?じゃあ杏露酒ください!これもさげてください!」
僕「(ああ…言いづれえ…この流れでノッファって言いづれえ…)あ…えーとNOT FOUNDってやつ。」
同僚たち「ノットファ…ウンド??」「知ってる?」「知らないかも…」「ねえちょっとYouTube開いて流してよ!あ、わたし通信制限かかってまーす!まだ15日で~す!」「早くな~い!?」「あ、これじゃない?再生するね」
テーブルに大音量で響き渡る『(an imitation) blood orange』ライブ音源の桜井イントロ
「ぼおおぉぉぉぉおおおおおおくわつぅぅぅうううういいいい…」
「いや…ちょっと音デカ…!知らないかも…」「桜井さんかっこいいね」「ふーん…」
「そうなんだー…」
「あ!そういえばさ!昨日…」
ああああああああ何で俺がこんな恥ずかしい気持ちになってるんだよおおおおおおおおお
ここで何してるの?僕はどこにいるの?
こんな場所にくるの 望んだ訳じゃないんだヘンゼルとグレーテルが迷い込んだ世界に
またdang-ding-dong dang-ding-dong dang-ding-dong
俺は店の入り口に一番近い席に座っている筈だ。
なのにどうして、俺はこんなに出口を求めてるんだ?
ヘンゼルは見つかりそうだけどGRAY TERUは何処にいるんだよ。見つからないよ。
そういえば桜井さんが重力と呼吸ツアーでやってた両手を広げるポーズってもしかして元ネタTERUさ…
まず一番なんて決められないというあるある。パッと聞かれて即答できないのがダメなのかも知れないが、一番っていうのはファンにとってかなり重たい質問であり、返答に時間を要する。
この気持ちを分かち合える誰かと共有しながら、建設的なあーでもないこーでもないを繰り広げた末の一番こそ最も落ち着いて納得できる答えなんだ。ああ面倒くさいですね。
でもって出てくる楽曲。くるみ、Innocent World、HANABI、シーソーゲーム(副題もあるからね!忘れないでね!)…
確かに名曲ですよ!名曲。でもあんたたちがノリで答えた『誰でも知ってるヒット曲』って認識と、僕が思う『感情と自意識と思い出の結晶が輪廻を繰り返して良さを噛みしめ過ぎた名曲たち』という認識では全く意味が違うから誤ったニュアンスになっちゃうじゃんかよおおおおおお!オタクってめんどくさいねごめんよおおおおおおお!エゴと傲慢な自尊心の固まり。
そうだよね。すぐ答えないからどんどん火に油が注がれていく。あっちは無邪気にどんどん燃料投下していくけど、僕は「それは違う!」「確かに名曲だけど…」といちいち真面目な対応と無駄な自意識の火消しに必死になってるんだ。早く答えないから「もういちど~」とか「シーソーゲーム!」とか勝手に歌い始めて勝手にテンション下がる輩が表れる。共感性羞恥の修羅。
そして無駄な葛藤を続けて時間を要せば要す程に、EVAの新作の様にハードルは上がっていく。僕のATフィールドは弱体化していく。
今俺に必要なのは酒じゃない。アンビリカルケーブルで集めた日本中の電力を使ってお前らの耳にぶら下がってる第5使徒ラミエルみたいな貴和製作所のダイヤイヤリングをポジトロンライフルで撃ち抜くことだ
ああ…もう何回やってんだよ、この不毛で誰も幸せにならないやり取りを。
いい加減学べ、俺。
好きなら曲があるならすぐ答えよう
そう、好きなんでしょ?じゃあすぐ答えなよ。
素直になって。
本当にMr.Childrenの事好きなんか?
何かいい線の曲狙おうとしてないか?相手にはどうせ言ってもわからないと思って驕ってないか?自分で物事をややこしくしてないか?
相手は場を盛り上げてくれてるんだ。喋ってくれてるんだよ?
お前(俺)は脇でチビチビ梅酒ロックとハイボール呑んでるだけだろ?
そんな僕に話を振ってくれてるんだよ?しかも僕が好きな話題を。
オタクに好きな話題振るって結構心の強さ必要よ?下手な事言えないし間違った知識なんて口にしようもんなら「いやそれはね?」おじさんが出てくるしさ。
MARVELのオタクたちに「初心者なんですけど、どの作品から見たらいいですか?バットマンですか?」とか聞いてみ?
「いやまずバットマンってのはMARVELじゃなくてDCコミックスだから。そこ間違えないで。それで君が観たいのはMARVELでマーベル・シネマティック・ユニバースという世界観で繋がってるんだ。DC観るやつは基本陰キ…
そう、止まらないんだオタクは。
俺は何こんな某居酒屋チェーン『わん』で自分の小さな世界を守ってんだよ。
酒の100ある話題の内のたった1だ。これを広げるのも潰すのもお前次第だよ?
それがお前のWONDERFUL WORLDか?
答えろ。すぐにお前の好きな物を伝えろ。
僕「Mr.Childrenは最高だよ、今一番好きな曲はNOT FOUNDだよ。」
そうだ。よくやった。
(↑妄想)
こんな感じで即答した方が気持ちいいし、自分に素直だ。
日本って自分の好きな物を堂々と伝えたり披露したり、自己主張の方法によっては面倒な人という感じに捉えられてしまいがちだ。
自分の好きな物があるって本当に最高だし、それを伝えるって何も悪い事じゃない。
恥ずかしがって何もしない方が、勿体ないよ。
それで自分に自信がつくことだってあるし、もっと皆が楽しめる時間になることだってあるよ。
だから、自分の好きな物は真っすぐにすぐ応えられる様になりたい。
ファンなら自分のSENSEを信じろ。もう一人のmr.myselfとウダウダ話して言い訳するな。
東京ドームで両手を広げて全ての重力と対峙した桜井和寿の力強さをお前はその目に焼き付けてきたんじゃないのか?
好きな物を楽しめ!
その素晴らしさを伝えられるのは僕だ。
因みに同僚はちゃんと帰りの電車で、居酒屋の時を止めたNOT FOUNDのライブ動画を最後まで見てくれたみたいだ。
僕に翌日、声を掛けてくれたよ。
ほら、ちゃんと伝わってるじゃん。
みんなの好きな曲って、今は何だい?
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