【Mr.Children】深海に連れてってくれよ、桜井和寿。

スポンサーリンク

f:id:mori-no-kuma:20191028003738j:plain

こんにちは、kumaです。

 

Mr.Childrenのアルバム 『深海』

 

名盤として有名な一枚ですね。
皆さんの中にも様々な思い入れがあるアルバムだと思います。

 

あなたはどんな時に聴きたくなりますか?

辛い時や憂いた気分の時?
夜遅くになっても眠れない時?
ロックなMr.Childrenを聴きたくなった時?

 

今回は

視聴環境を整えて集中して聴いたら、やっぱり名盤と再認識できて深海まで連れてってもらえた

そんな話です

 

では、いってみましょう。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

Mr.Childrenの名盤『深海』とは?

f:id:mori-no-kuma:20191028003941j:plain

Mr.Children5枚目のオリジナルアルバム。

前作『Atomic Heart』後の作品で、発売当初はその暗く重苦しい内容から
ファンで有り続ける為の踏み絵と言われた。

既に発売されていたシングルから
『Tomorrow never knows』『everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-』『【es】 〜Theme of es〜』『シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜』が選曲から漏れている。

上記4曲は本作のイメージとして合わないという理由から次作『BOLERO』に収録されている。


自己開放の体現。そしてセールス的な面を目標としていた『Atomic Heart』から2年半経ち、
その内容はバンドとしての音楽性やパーソナルな心情にエッジが加わった様相を呈している。

どちらかというと癖の強いロックアルバムである。



『Atomic Heart』から続いた作品づくり、メディア露出、ツアーにより彼らの精神は疲弊していった。
望んだ姿ではなかった現実に対し、バンド内で次第に虚無感が広がっていく。

f:id:mori-no-kuma:20191028003736j:plain

これは有名なregress or progress ’96-’97ツアーの日程だ。


そしてこの後にファイナルでドーム公演が3本。殺人的である。

真駒内アリーナ6デイズの謎。すすきので遊びたかったのでは。笑

とにかくこんなツアーを組んでメディアに出て、全てを「こなす」様な活動になっていく。


これならば、心に闇を抱える理由も頷ける。

Mr.Childrenの『深海』を聴き直すきっかけになった『重力と呼吸』

『重力と呼吸』というのはこちら
Mr.Children19枚目のオリジナルアルバムである。


毎回なのだけど、アルバムの評価を決めるのには聴き込みが必要です。

大体いつも半年くらい聴き込んでやっと他アルバムと同じ土俵で比べる事ができてくる。


そしてこの重力と呼吸
発売から2.3週間たった当初は自分の中でかなりふわっとしていた。

理由としてはいくつかあるが、主に桜井さんの発言。雑誌等でアルバムの出来について
かなり煽られた印象を受けた。(そのマインドが彼らしいという事は理解しているが)

フラットな気持ちで聴ければ一番良かったのだが、これにより少しモヤついてしまった。


ある日ドライブ中にアルバムを流して、最後の曲である『皮膚呼吸』が終わった後の事。
運転中なので曲操作ができず、私のWALKMAN順で次のアルバム曲へ

水の音が流れ始める
熊(ああ・・・深海か)
妻「もう一回流そうよ」

熊「ちょっと聴いてみよう」

・・・シーラカンスが盛り上がる。

熊と妻「あれ…?かっこよくない?笑」
   「いやいやいや笑 すごいわ笑」


そのままアルバムを聴き続けました。
歌い方やサウンド、曲の素晴らしさに改めて驚きました。

私も妻も20年余りMr.Childrenを聴き続けています。
割と各アルバムの良さはわかっているつもりですし懐古主義な訳でもありません。


何故そう感じたか、その時はお互い深くは話しませんでしたが
恐らく耳慣れない曲を聞き続けていた時に

「ああ!これこれ!やっぱこれだよなー…」
という気持ちが出てしまった為かもしれません。

と、言う訳で
今更ですが深海を聴き直してみる事にしました。


『深海』試聴環境を整える

妻の就寝を待つ


静かで誰にも邪魔されない環境で聴きたいので妻が就寝する頃を見計らいます。笑

妻は金曜の夜だと次の日が休みなのでテンションが高くなかなか寝ないです。

平日の真ん中で計画します。


『深海』アイテムを整え気分を高める

f:id:mori-no-kuma:20191028003732j:plain

事前に当時の書籍を読んでおきます。
本人たちの心理状況を飲み込んで置くことで、より世界観に浸れるからです。

深海ピンポイントの頃の雑誌が無かったのでリグプロ直後の物で。


f:id:mori-no-kuma:20191028003734j:plain

今回はこちらのWALKMANとヘッドフォンで。
ポタアン無しの直挿しという所で音に拘っていない所がバレバレですが、ご理解ください。笑

ヘッドフォンはSONYの周りの音を打ち消す、ノイズキャンセリング機能付のオーバーヘッドタイプです。

もっと良い音を出す物はいくらでもあると思います。

私はSONY特有のドンシャリ感とノイキャン具合で出る、このヘッドフォンの音が一番好きなので自宅ではこちらを使用。



『深海』だけど、水の用意


喉が渇いて一時停止や立ち上がらない為に席にコップを用意。
そしてトイレ!これ大事です。
特に1曲目の水の音でトイレへ行きたくなりそうなので。笑



では!深海へ。Dive!


 

【深海】を泳いでみた

Dive

アルバムの中でのプロローグ。
もうここから引き込まれます。
ダッバーン!っと
チェロの音色が深夜の私を深海に連れて行ってくれます。


シーラカンス

このアルバムの重要なリードをとる一曲。
アコギフレーズと桜井さんのボーカルからの印象的なエレキ。
やや遅れたピッチで続くJENのルーズなドラム。
口をあんぐり開け、険しいアホ顔でリズムを取るJENの姿が目に浮かびます。

2番の終わりからの展開で一気に

左脳の片隅で君を待ってるうううううう

ジェットコースターの様に引っ張られる展開と
田原さんのスライドギター

最高です。

左脳を普段使う生活を送っていない右脳感覚男は、これから深海へ行ってきます。


手紙

一転、叙情的なメロディへ。

アコギとピアノで手紙を読んで語りかける
そんな展開の曲。
しゃがれたボーカルの声が、より手紙の内容に感情をより入り込ませる物になっている。
私もここでブレイクダウン。

歌詞を見ると別れた恋人に対しての想いを手紙に綴った物である事がわかる。

遠い夏を超えて、秋を過ぎて あなたの事を思うよ

今じゃ別の誰かの胸に眠るはずだよね 花ゆれる春なのに

夏、秋、春と3つの季節が出てくるが、それは次の曲にも繋がってくる。


ありふれたLove Story 〜男女問題はいつも面倒だ〜

男女の出会いから別れを、ポップなメロに合わせて歌っていくこの曲。

変わらぬ愛と信じきっていた二人 移りゆく季節を歩いてきた

この冒頭の歌詞から、手紙の内容とこの曲が意図的に繋げられている事に気付く。

時系列をあえて結末から順に流し、全く異なる曲調にする事でリスナーの感覚をぐっと引き寄せる。
そしてキャッチー。


Mirror

山形の田舎でのんびりと過ごしていた時に浮かんだそうな。
鼻歌で簡単に出来そうな、桜井さんなら量産しまくれるタイプの曲。

お得意のCメロや優しさを内包した言葉の選択。
碌(ロック)でもなくポップでしっかりと遊んでいる。

タイトルのMirror。
人は自分を写す鏡の意という事でつけられている。
ここでは単純なラブソングや大切な人の事を歌っているだけに見える。

しかし個人的にこの関係性は「僕とシーラカンス」を含んだ意だと捉えている。


Making Songs

デモテープの様な音が流れる。
一人の人間が誰かの為に曲を作る事をイメージした為。
Mirrorの中の「単純明快なLOVE SONG」と名もなき詩の「君に捧ぐ」という歌詞のイメージを繋げる役割をしている。

一瞬次作「BOLERO」の「タイムマシーンに乗って」のメロが聴こえるが
本人曰くたまたま似ただけの曲と雑誌で語っている。



名もなき詩

説明の必要がない名曲。

当時の現象やセールスが無意識のうちに頭に刷り込まれているからかもしれないが
キャッチーであり、曲のパワーが物凄い。

桜井さんが飾ることなく歌う愛情
田原さんのこれ以上無い適当な歪みとエッジ
ナカケーが作るうねりと全体をリードするライン
JENが豊潤なドラムでつくる曲のエネルギー

無駄な隙間も無く、取り除く物も無い。
見事なバンドサウンド。だから飽きが来ない。

冒頭のギターカッティングに始まり
バンド感が全面に出たグルーヴ

愛とはきっと奪うでも与えるでもなくて気がつけばそこにある物

「絶対にこの曲を歌入れするまでには死にたくない」との思いがこもったフレーズ

ここで小林武史さんによる自我開放の完成した形が一つの詩になっている。


Cメロ~ギターソロで盛り上がり
ここからギアチェンジし、スピード感がグッと上がる。

ラスサビ前のラップ部の、一音に複数の言葉を載せる歌い方
もろに岡村靖幸さんの影響を感じる。

勢いと音を重ね完全にビルドアップされた
最高のラスサビで完全に燃焼する。


「ダーリン、夢物語」なんて韻踏みは当時の彼だから許されてたフレーズだ笑

街の風に吹かれて唄いながら、という歌詞は次の曲の事だろうか


多分この一曲で歌ってもいないのにかなりカロリー消費した。

So Let’s Get Truth

ここでロックバンドからいきなり長渕になります
一人の男がストリートで、時代を憂い歌う。

最後のセリフ
君はなかなかいいけど、昼間の仕事は辞めるなよ
こういう情景が想像できる小ネタ、いいですね。

臨時ニュース

一瞬「また会えるかな」が流れる。

フランス政府が当時核実験を行った事を
次曲に繋げた内容となっている。


マシンガンをぶっ放せ


本質を歌っているアーティストのこうした社会風刺の曲は、時代が変わってもいつまでも響く。
曲全体から桑田佳祐さんのイメージがにじみ出る。

右から聴こえるザクザクしたソリッドなバイオリン
HEROにしろhimawariにしろMr.Childrenの楽曲に使われているバイオリンは良フレーズが多い。

ギターの田原さんがこだわりを持って何度も撮り直したというエピソードがあるが
この頃から彼らしいこだわりがあったのだろう。
派手な動きは無いがアルペジオや音作りなど、それを含めて聴くと面白い。


ゆりかごのある丘から

長い。基本的に私はMr.Childrenの長い曲で好きではない曲がいくつかある。この曲もその一つ。
中学生の頃にベッドで深海を聴くとこの曲になると眠気が襲い最後まで辿り着けないという事が幾度もあった。
それは今でも変わらない。笑

テンションが上がった所で終盤前のブレイクタイム。


そしてまたここからテンションアップ。
ニューヨークでのアナログレコーディングが生んだ音が活きている。
イントロの田原さんフレーズが最高だ。桜井さんのボーカルの間を、歌う様なギターで弾きあげる。
キーボードも良い。

桜井さんの歌い方もざらついた英語詞の様な発音で、堕ちた男の心情をロックに盛り上げる。

気分、多分、Heavenと韻踏みも聴いていて気持ち良い。

花 -Mémento-Mori-

元々女性ボーカルに向けて作ったという有名な話。
メロディは鼻歌でつくれる様な、皆で歌えるポップ
それを笑顔なしで歌う。
花単体で聴くと大衆背中押しポップなのだが
このアルバムの流れで聴くと異なる印象になる。

小学生の頃テレビで流れて聴こえた花と、今30代になって聴く花は全く別の曲だ。

当時の桜井さんは
「今の自分には夢を追おう、愛を貫こうなんて歌えない。最高に前向きな表現が笑って咲く花になろう」
という趣旨の発言をしている。

Mr.Childrenのこの時代やキャリアを知れば知るほど感慨深くなる曲。
今の彼らはきっと、別の気持ちで歌う事ができている筈だ。


深海

このアルバムのラストを飾るエピローグ曲。
ここで歌詞にされているが、深海は自身の心を表している。

連れてってくれないか 連れ戻してくれないか 僕を 僕も

数字のみでは表現者として最も高い地位に上り詰めたが、そこには何も無く空虚な心だけが残った。
以前の自分で在りたい心の叫びが印象的な曲。


Yen Town bandの『Swallowtail Butterfly ~あいのうた~』やこの『深海』といい、小林武史さんのシンセは天才かと思う。いや天才か。

ラストへ向かう田原さんのギター。Mr.Childrenの中では長尺のソロだが
飽きること無いフレーズで曲を昇華させる。

当時のライブでは最後に長髪を揺らして、フィニッシュでギター振り下ろすという
今では考えられないパフォーマンスを見ることができる。


最後のSEは浮上しているのか、更に深く潜っているのか。


 

Mr.Children『深海』聴き終わって

f:id:mori-no-kuma:20191028003738j:plain

久し振りに深海を集中して聴く事ができた。

やはり電車で何気なく聴くのと、集中できる環境で聴くのでは全く聞こえ方が変わってくる。
音や歌詞、曲の世界観により入り込めます。


映画好きの私の感想としてはアルバムを聴いたというより

良質な映画を一本鑑賞した感覚に近い。

歌詞に関連性やストーリーを持たせた事で没入感が増す。

ラストの深海を聴いて一気にカタルシスを感じ、その世界観に浸れる事ができる。

重い、そして多幸感のあるアルバムだ。


『深海』と『BOLERO』は

アナログとデジタル
深さと広がり
コンセプチュアルとベスト

相反する言葉が表す作品をリリースする事により、聴き手のピークと今のMr.Childrenに決着をつけるという意思の表れだ。

このアルバムをリリースした頃の彼らは
物凄いスピードで音楽と対峙していきました。

この経験があってこその今のキャリアと音楽性の豊かさなのでしょう。


何よりこのアルバムが、発売からもう少しで25年も経ち、今聴いても何一つとして色褪せていないという事に驚かされる。


以前、桜井さんの発言として以下のような物があった。

世界の経済がどうなるかわかんないっていう時に、20代そこそこのバンドの内面の吐露とか不安とか迷いみたいなものを、金出して聴きたくないなっていうのはあって。
MUSICA 2009年1月号 インタビューより


以前の自分への皮肉も若干込めての発言だがそれにしてもこのアルバムの完成度は高い。

若手時代にこの完成度の作品を世に生み落とした彼だからこそできる発言だ。



今回深海を聴き直した事で、他アルバムや最新アルバムの新たな解釈や発見があるに違いない。

まだ定まっていませんが、「重力と呼吸」は好きなアルバムになりそうな予感です。


深海の後にWALKMANから自動で流れてきた次の曲は『ヒカリノアトリエ』
同じ人間とは思えないわ笑


改めて彼らの音楽性の広さと、キャリアに感慨深いものを感じた深夜でした。

Mr.Childrenはどこで深海から脱出したのか?桜井和寿が対峙していた、観念からの解放の瞬間を考察。

 

【Mr.Children】深海とBOLEROに用意された椅子。手を伸ばす桜井和寿。
Mr.Childrenが残した印象的な作品である深海とBOLERO。そこに登場する二つの椅子に、彼は縛られていた。両作品を通して聴き、初めて見える物がある。
【Mr.Children】筆者おススメ&アルバム別記事一覧はこちらから【バズ作品有り】
これまでMr.Childrenの作品について触れ、全てのアルバムについてに感じた事や考察記事を執筆。 サイトの順番的に見辛い部分もあった為、一覧として触れられるようにまとめてみた。 キュレーションサイト「グノシー」や「スマートニ...

 

スポンサーリンク
Mr.Children
スポンサーリンク
面白かったら是非シェアをお願いします!
Follow Me!
クマログ ライフスタイルとMr.Childrenが集まる山小屋

コメント

タイトルとURLをコピーしました